こんにちは。轄kエ翻訳事務所で学術論文翻訳を担当している平井と申します。
分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。
今回のテーマはインテグリンからの増殖シグナル、FAKの集合と自己リン酸化、細胞内翻訳会社リボソームについてです。
動物の細胞は細胞だけからできているのではなく、細胞以外の空間がかなりの比率を占めています。細胞外マトリクスとはこの空間を埋めている物質のことで、複雑な網目構造をした巨大分子から構成され、主に繊維状の翻訳済みタンパク質と、グリコサミノグリカンを主成分とする多糖類(polysaccharide)から成ります。細胞外マトリクスと細胞の間に介在して両者をまとめるのがインテグリンの役割です。
インテグリンはαとβの二量体(dimer)で、細胞の表面に突き出た部分で細胞外マトリクスと結合します。αとβの組み合わせによって少なくとも20種類以上のインテグリンが知られています。細胞質側ではアンカータンパク質(anchor protein)を介してアクチンフィラメントにつながっています。
インテグリンが細胞外マトリクスと結合すると、アクチンフィラメントが周辺のインテグリンをその場所に集合させて接着班(focus adhesion)を形成し、細胞と細胞外マトリクスをしっかり固定します。続いてタリン(talin)やパキシリン(paxillin)といったアンカータンパク質がFAKを接着班まで呼び寄せます。集合したFAK同士が互いのチロシンをリン酸化すると、リン酸化チロシンが目印となってSrcファミリーのキナーゼが集まってきてFAKの別の部位をリン酸化します。
インテグリンには受容体チロシンキナーゼを接着班の場所に集めるはたらきもあります。受容体が局所に集合すると増殖シグナルがさらに強まることになります。インテグリンは増殖以外のシグナル伝達にも関係しています。核からの指令がアクチンフィラメントからインテグリンに伝わって、細胞外マトリクス接着の強さを変化させることもあるため、細胞周期のM期には細胞外マトリクスとの接着が緩くなり、細胞分裂が起こりやすくなるのはこのためです。
轄kエ翻訳事務所
医学翻訳・分子生物学翻訳・生化学翻訳担当:平井 |