こんにちは。轄kエ翻訳事務所で学術論文翻訳を担当している平井と申します。
分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。
脳波計(electroencephalograph)のしくみは心電計(electrocardiograph)とよく似ています。ただし、頭皮上で測定できる電圧変化は非常に小さく、心電図の30分の1くらいしかありません。そのため、雑音の影響を一層受けやすく、電波を遮断する専用の部屋で記録する必要があります。部屋全体を金網ですっぽり囲い、それをアースでつないで雑音をカットするのです。
脳波計は、ポータブル型から、かなり大型のものまでいろいろあります。心電図と異なり記録の仕方がいろいろあるため、脳波計の外形も様々です。
電極を装着する部位は国際的に決められていて、全部で19ヶ所あります。これを様々に組み合わせて記録を行いますが、初期のころの脳波計では同時に記録できる脳波の数に限度があり、8〜12チャンネルくらいが限界でした。しかし最近では、回路の小型化と軽量化が進み、さらにコンピュータ内蔵型となったことから、同時に記録のできるチャンネル数が100を超えるという製品も作られるようになりました。
ただし心電計のように、病名を診断するコンピュータプログラムは内蔵されていません。理由は、記録の仕方が心電図のように画一的でないことに加え、波形と病気との関係が必ずしも明確でないことや、目的が多様なことなどが関係しているものと思われます。また心電図ほど多くの人が受ける検査ではなく、専門の医療機関で検査と判定が一緒に行われているため、コンピュータ診断はいらないということかもしれません。
コンピュータ内蔵脳波計(デジタル脳波計ともいう)は、むしろ画像処理の分野で進化を遂げてきました。脳波の研究者たちが抱き続けた夢の1つは、三次元のマッピングができないかということでした。二次元グラフの弱点は平面での位置はよくわかっても、深さがわからないことです。もし異常部位が深さまで含めてわかれば、病気のメカニズムや治療法の研究に役立つかもしれないというわけです。最近では研究の甲斐あって、おおよそ三次元グラフが描けるようになってきました。このような技術が本当に役立つかどうかは、これからの課題です。
轄kエ翻訳事務所 学術論文翻訳担当:平井 |