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平井 平井による生化学・分子物理学・バイオ技術コラム
担当翻訳分野:生物学翻訳学術論文翻訳
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2012年04月30日
リンゴとバナナの関係

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で学術論文翻訳を担当している平井と申します。

分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。

若い時期の多くの果実は、葉でつくられた糖からデンプンを合成して蓄積します。青いバナナのガサガサとした食感はそのためです。果実の成熟に伴って、デンプンは再び糖に分解されていきます。また、細胞壁を形成しているペクチンが、糖に分解されてやわらかくなるので、舌ざわりが良くなり、果実特有の芳香が出てきます。これを「熟す」といいます。

果実は熟した状態がおいしいですね。熟すまで枝などについていたものや木の上で熟したものの中には、「完熟(fully-ripe)」という名で高価なものがありますが、種類によっては、熟してしまうとやわらかすぎて輸送が困難になるものがあります。このような果実は、未熟なうちに収穫して、輸送中に熟させたり、人為的に熟させたりします。この「収穫してから人工的に熟させること」を追熟といいます。

モモ(peach)は枝についたままでもかなり熟すのですが、収穫が遅れると落果することもあるので、未熟なうちに収穫して、輸送中に追熟させます。皮の薄いトマトはすぐに傷んでしまうため、やや未熟な状態で収穫して、店頭に並んでいる間に熟すようにします。人為的に追熟させる果実として有名なのは、バナナです。

未熟なバナナとリンゴを一つの袋に入れておくと、バナナは早く食べごろを迎えます。果実が熟すとき、果実はエチレンという気体を発生させます。果実の成熟にともなってさらにたくさんのエチレンが放出され追熟が進み、食べごろになるのです。リンゴからはエチレンが大量に発生するので、リンゴとバナナを一緒にしておくとリンゴから発生したエチレンがバナナを追熟させるのです。

日本で店頭に並ぶバナナのほとんどは、フィリピン、台湾、南米などから輸入されたものです。バナナは熟すと柔らかくなり、輸送に適しません。また、熟したバナナには日本には生息していない害虫の卵が付いている可能性があるので、植物防疫法(Plant Protection Act)によって禁止されています。ですからバナナは遠い国で未熟なまま収穫され、輸入したあとエチレンで満たされた部屋で追熟されて店頭に並ぶのです。買ったバナナが未熟だったら、リンゴと一緒において追熟させてみましょう。

轄kエ翻訳事務所   学術論文翻訳担当:平井


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