生物学に関連した翻訳は、私たちが扱っている翻訳において、急速に需要が増えつつある分野
の一つになっています。これまで『生物学』という言葉を聞くと、動植物の分類を思い浮かべる方が多かったと思います。そして実際に研究成果が知識の枠から出ることは多くありませんでした。しかし、今日では生物分野における発見が各種産業へと直接結び付くようになりました。言うまでもなく、その原点は1953年にワトソンとクリックによって提唱されたDNA二重らせんモデルにあります。これによって遺伝子-DNA研究が進むに従い、かつて独自の発展を遂げてきた生物学の諸分野が1本の糸で結ばれ、すべての生命現象が遺伝子の機能から説明可能になり、その上、1970年頃には遺伝子組み換え技術が開発されて遺伝子研究が飛躍的に進歩し、その成果が産業と医療に活用されるようになりました。
バイオ技術とは生物学由来の知見に基づいた技術の総称であるため、バイオ技術翻訳では対象範囲が食品開発から遺伝子治療などにまで多岐に及びます。また、医療や医薬、食品、環境、そしてバイオマスなどがバイオ技術の代表的な分野に挙げられますが、遺伝子およびタンパク質工学などの著しい進展によって他分野との境界が無くなりつつあり、翻訳範囲は化学や機械および情報工学などにまで拡大しています。このような状況下にあるバイオ技術翻訳においては、広く深い専門的知識が要求されます。
とは言っても、日進月歩の技術内容や専門用語をすべて把握しておくことは不可能ですので、翻訳の際には専門辞書やインターネットなどを利用し、情報や訳語を確認および選定することになります。しかし、特にインターネットの場合に多いのですが、誤った情報がそのまま掲載されていることがあります。また、最先端になるほど専門性も高くなる結果、使用されている用語がまばらになる傾向があるため、情報収集能力を高める上でも、日頃から多くの情報を咀嚼して幅広い背景知識を身につけることが、最も重要であることに変わりはありません。
IT全盛時代の後、世界中がバイオ技術に目を向けるようになりました。「21世紀はバイオの時代」という表現がありますが、それは期待を込めて言われているのではなく、バイオ技術が産業の面でも本格的に開花し始めているからです。製薬から、スーパーコンピュータに勝る研究機器開発、ソフトウェアやデータベースを駆使した解析処理など、バイオ技術に関わる産業も著しく広がっています。
このような時代のニーズに応えるため、科学界ならびにバイオ産業の動向を注視しながら、高品質な翻訳サービスを提供していきたいと思います。翻訳の依頼先は医薬品および食品メーカー、研究所、大学、個人、官公庁などが多く、研究論文や研究資料をはじめ各種報告書、技術文書、特許明細書、ガイドライン、説明書、そして記事や書籍など、生物学・生化学・バイオ技術に関連したさまざまな形式の翻訳に対応しております。 |